性風俗事業者が新型コロナ対策の給付金の支給対象から外されたのは、憲法が保障する「法の下の平等」に反するとして、関西地方のデリバリーヘルス(無店舗の派遣型風俗店)運営会社が、国などに未支給の給付金など計約450万円を求めた訴訟の控訴審判決が5日、東京高裁であった。判決は、請求を退けた一審・東京地裁判決を支持し、運営会社側の控訴を棄却した。
原告は、コロナ禍の2020年4月中旬から5月初めまで休業した。売り上げが減った中小企業などを対象にした持続化給付金や家賃支援給付金を申請しようとしたが、性風俗事業者は不支給要件に該当し、申請できなかった。
昨年6月の一審・東京地裁判決は、風俗営業法が飲食店やパチンコ店を許可制、性風俗業は届け出制と区別しているのは、性風俗業が「大多数の国民が共有する性的道義観念に反し、国が許可という形で公的に認知するのは相当ではない」との考えに基づくもので、「合理的な理由がある」とした。
その上で、性風俗事業者をコロナ給付金の対象外とした国の対応は「国庫からの支出で、性風俗業を下支えすることは相当ではないとの考えによる」と指摘。他の政策との整合性や、納税者である国民の理解を得られるかといった点を考慮し、「国の裁量の範囲を超えず、違憲とは言えない」と結論づけた。
原告側は控訴し、「恣意(しい)的な『国民の理解』を考慮することは、不当な差別感情を追認するだけだ」と訴えていた。(金子和史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル